ワーキングメモリーについて

 脳の働きのよさをあらわす指標として、IQがあることは広く知られています。現在もっとも活用されているIQ指標は、ウェクスラー式と呼ばれるものです。現在のウェクスラー式では、全検査IQを領域別に数値化した群指数と呼ばれる数値が示されます。

この領域が4種示されており、それぞれ、「言語理解」,「知覚統合」,「作動記憶」,「処理速度」と呼ばれます。このうちの「作動記憶」が英語でワーキングメモリーと呼ばれる指標です。(16歳以下向けの検査では、言い方が少しだけ異なりますが、ほぼ近い概念です。)

IQの中に含まれる4つの指標があり、それぞれが別の領域、つまり別の能力を示しています。ということは、脳の働きのよさと一言でいっても、どの指標値がどのようであるのかで、いろいろと違ったパターンが無数にあるということになります。


ワーキングメモリーとは、短期間、単純に記憶するという方面の機能です。内容の理解などとは関係なく、聞いたり見たりしたことを一時的に単純に記憶できることは、学校の勉強で成果を得る上ではとても有利に働きます。

IQの4指標のうち、第一に学校の勉強に関係しやすいものが、「作動記憶」、つまりワーキングメモリーといえます。これにやや劣りがあるだけで、学業面でかなりの遅れが出る場合があることが了解されています。

皆さんの中には、学校の授業が難しく感じたり、みんながわかっているようなのに自分は置いていかれるように思えたり、成績が上が思うように上がらないときに、自分は頭の働き自体が悪いのではないか、なんて思ったりする人はいませんか?

そう感じたとしても、それは脳の得意分野の違いによるだけのことかもしれません。

脳のどの分野に得意不得意があるかは、その人の個性です。

学校などの集団学習にとって、多くの個性に合わせることがとても難しいのは、やむを得ない現実です。私たちは、たとえばワーキングメモリーが他の機能に比較したときの不得意があるなどのことで、学業が振るわなくなっているような子がいないか、それぞれの生徒の個性をよく観察します。

そして、そういうところに不得手がある生徒には、それに相応しい指導法があることも学んでおり、これを実施して効果をあげています。

こういったことができるのは、個別指導ならではのものといえるでしょう。